朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
又、サトさんがやって来た。 退職したばかりの人はよっぽどヒマなんだな。 私のように無職を7年もやっていると、けっこう忙しいものだ。

何かにつけ頼まれごとが多くなってくる。 ボランティアといっても約束した以上は守らないと、信用にかかわる。おろそかには出来ないのだ。

「人生相談は、もう止めたよ」
「違うんです。今日は女房の悪口を言いに来たんです」

「そんなこと言いに、わざわざ来たのか」
「奥さんとケンカするんじゃないよ。愚痴ぐらい聞いてやるから。と言ったでしょう」

確かに言ったかも知れない。 しかし、バスと地下鉄乗り継いで、ホントに来るとは思わなかった。 かいつまんで言うと、こんな話だった。

「風が強くて寒い日に買物を頼まれた。 買物を書いたメモ書きを渡されたが、いつものように、メモ書きは見ないで財布と一緒にポケットに入れた。

スーパーに着き、買物開始。メモ書きの中に 『かにもどき』と書いてあったが、そんな品物はない。

一生懸命に手がかりを考えると、サラダに使うと言っていたことを思い出した。

さんざん探した挙句、『サラダに合う』と表示してある『かに風味』をカゴに入れた。 他にいくら探しても『かにもどき』というものは見つからない。 

無いことを確認するのは、ある物を探すのに比べ、数倍の手間がかかる。さんざん探した後で諦めたのだ。

『もどき』『風味』『らしき』と続けば、私だって頼まれたものとは違うのではないかとの不安はもっている。 なにか嫌な予感がした。

リンゴ、牛乳、ジュース、醤油など重いものをいっぱい持って、雨混じりの強風の中を歩き、やっと家に着いた。

『遅かったじゃない。寄り道でもしてたの』と言いながら女房が受け取った。

買物を頼まれるのは天気が悪いときか、重いものを買う必要があるときだ。 今日は両方重なって少々辛かった。 

しかし、案の定『かに風味』を見ると嫌な顔をした。 こうゆう予想は当たれば当たるほど傷つくものだ。『これ違うじゃない』と聞くと更にガックリくる。

人に買い物を頼んでおきながら、『かにもどき』という、どこにも無いようないい加減な品名を書いたことには、何の反省もない。

自分のイメージしたものと違うという、極めて自分勝手な理由で不機嫌になる。 更に、頼んだ物と違うといって文句を言うのだ。

正確に品名を書かなくては通じないとは言ってみたものの『私だったら分かるよ』と言われて押し切られてしまった。後はケンカしかないでしょ」

彼の愚痴はやっと終わった。 
私の役目も終わってホッとした。

「奥さんだったら分かるだろうね」
「先輩だったら分かりますか」
「分かるわけないだろう」
「男はつらいですね」
「分かるよ」

2008/10/23

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【2009/01/05 10:37】 | 夫婦喧嘩
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