朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
去年の今頃は中島公園は「サクラマス遡上騒動」で大騒ぎだった。 遡上なら川を上るはずなのに下ってきている。 それでも皆喜んでいた。

しかし、サクラマスの死骸をカラスが突っつくのを見かけるようになってからは人々の反応は変わってきた。 このまま放置してはまずいのではないかと。

sakuramasusigai.jpg
しばらくすると死骸がアチコチに

専門家の話ではサクラマスが中島公園に来たところで、生きては行けないということだった。 鴨々川のサクラマス遡上・産卵の新聞報道があってからは、観察に訪れる人も多くなった。 

sakuramasu.jpg
一人で落ち着いて撮れば上手く行く 

サクラマスを驚かさないように、そおっと写真を撮っていると、後ろから声がする。
「あ~、だめだめ。 もっと姿勢を低くしないと」
振り向くと年配だが、かなりお洒落な女性が立っている。

「私、写真屋に勤めていたのよ。 カメラ持ってこなくて残念だわ」
「(姿勢を)低くすると水面が反射して光るんですよ」

こちらはモニターを見ながら撮っているので、反射しているかどうかは言われなくても分かるのだ。 それでも彼女は指示を連発する。

「もっと低くしなけりゃダメ! 水面ギリギリで撮るのよ」
無茶を言っちゃー困る。 そんなことできる訳ない。身体は固いし腰痛もちだ。 しょうがない。 切り上げ時だなと、立ち上がる。 

「あら、もう帰るの?」
”あなたがいたのでは落ち着いて写真も撮れません”と言いたいのはやまやまだが、口から出さずに飲み込んだ。

「いろいろご指導ありがとうございます。 きっといい写真が撮れていると思いますよ。 こちらがホームページのアドレスです」と言って名刺型のチラシを渡す。 どんなに悔しくても、これだけは忘れない。

「そ~ぉ。これからなのにぃ」
しばらく木の陰に隠れて、彼女が立ち去るのを見届けることにした。

*    *     *

「さあ、撮るぞ!」と再び川に近づくと、今度は違うおばさん。サクラマスをじっと見て「美味しそうだね」と一言。

「食べちゃだめですよ」と冗談めかして言うと、
「食べられないよ~。 私、獲れないから~。 ワハハハハハ、ワ~ハッハ~、ワ~ハッハ~」
サクラマスはなかなか撮れなかったけれど、笑いがとれてしまった。 しかも、こんな簡単に。 

家に帰ってつぶやく。 
「小さな幸せ、いっぱいあるけど大きな幸せないなぁ」
「あんたに大きな幸せなんか来たら、ビックリして死んじゃうよ」

そうかもしれない。
そんな終わり方もいいかもしれないと思った。    

2008/10/15

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【2009/01/04 19:35】 | 中島公園・薄野
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