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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
「まるでホテルにカンヅメになった締め切り前の人気作家のようだな」と、すっかり空想モードに入ってしまった。ドアをノックする音が聞こえる。
「おやっ、編集者かな?」と、一瞬の勘違い。

先ほどの看護師さんだ。言いにくそうに、アレコレ話していたが、けっきょくは「酸素が必要な人が来たので、直ぐに出て欲しい」と、いうことだ。 

何たることだ! 太鼓判を押したばかりではないか。しかし、命に関わることに変更はあり得ない。諦めるより仕方ない。

夢はあえなく萎み、忙しさに拍車がかかった。とにかく移動準備だ。広い個室に散らばった荷物を一ヶ所にまとめると、もう昼食の時間になってしまった。なんとも忙しくてやりきれない。

大急ぎで食べて6人部屋へ。やっとの思いで移ったが、増えてしまった荷物でベッドのまわりは足の踏み場もない。

ともかく、隣の人に挨拶をしなくては、「はじめまして、よろしくお願いします」と簡単にすますと、
「宍戸譲二です。84歳です」と、丁寧に応じられたのでやり直し。
「中波太郎。67歳です。風邪をひいてこの病院に来たら検査して、即入院となりました」
「そうですかぁ。お客さん少ないからね~……」
「……?」

先ほどの院長先生のセリフ、「直ぐに入院。ラジオはいいよ」を思い出した。まさか、肺炎と言って見せてくれたあのCT写真の白い影は、「消しゴムツール」か何かで加工したのではあるまいね。一瞬こんな疑問が頭をよぎった。「病院の罠」。

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