朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
かなり長いこと旅行に行っていない。空港に着くと27年前にタイムスリップしたような気がした。 何となくタワー(管制塔)を見たくなった。

団体旅行だが、皆から離れて一人で外に出た。 仙台空港もずいぶん変わったものだと思った。 タワーを見ていると27年前のことを思い出した。

chitoseairport.jpg
  なぜか仙台空港と思って撮った新千歳空港

当時、友人が仙台タワーで働いていた。 転勤の挨拶に行ってみたが、仕事をしているようには見えなかった。

「ヒマそうだな、仙台は狂ったように忙しいとか言ってたじゃないか」
「事故が起きたんだ。 機体は片付けたが、警察で捜査中よ。ランウェイクローズ だ」

小型機が着陸に失敗したらしい。滑走路は閉鎖中だった。
「けが人がでたのか」
「そうらしい」

この事故で知人が命を落としたことを知ったのは、札幌に着いてからだった。 彼はアマチュアパイロットだが、事業用操縦士のライセンスを持っていた。

同じアパートに住んでいたので、同乗して帰ることが多かった。 車中でよく話をした。
「訓練中の(アマチュア)パイロットの面倒をみているんだ」
とよく言っていた。

「判事って偉いのか」と聞いてから、「実は今度の訓練生は判事なんだ」と得意そうに言う。 アマチュアだが、気分は教官である。実際もそうかもしれない。

新聞には乗員2名死亡と書いてあった。 無口な奥さんの顔を思い出した。 いつか彼がこんなことを言ったことがある。 

「金を貯めて女房にボタン屋をさせるんだ。ボタンは腐らないから素人でも出来る。 あらゆるボタンをそろえて置けば、そこそこの商売になるんじゃないか。 そうすれば年金のたしまいになるな」

まだ、四十前なのに、やけに年寄り臭いこと言うものだと思った。 あれほど慎重な人が、こんな最後を遂げるなんて、人生は何が起こるか分からない。 

もの思いに耽っていたが、ようやく自分がいる場所が仙台でないことに気がついた。 千歳空港を歩いているうちに起きた錯覚だった。 

なんとなく無機質な構内、歩いているうちに自分がどこにいるのか見失う。 空港には個性がない。 飛行機も同じだ。有機質の人間が無機質の飛行機に身を任せる。慎重なパイロットも時には自分を失うのかもしれない。

2008/10/2

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【2009/01/04 18:50】 | 照る日曇る日
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