朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
みっともないことは思い出したくないから歌と英語の話はしたことがない。ところがある出来事がきっかけでタガが外れた。それからは折に触れて話題にしている。幼児と高齢者は下手の横好きも許されるかも知れない。幼児は成長の為、高齢者は健康の為になる。理屈はともかく、どんなことでも自由に話せれば楽しい。

最近になって洋楽カラオケを始めたが私の場合は、英語も日本語(カタカナ)も変だ。残念ながら修正不可能なので気にしないことにしている。歌も英語もスポーツも体内における情報伝達の役割を担う神経の影響が大きいと思う。多分その辺に問題があるのだろう。簡単に言えば反射神経が鈍いのだ。

若い時の話だが肉体労働ではやって行けなくなったので「趣味の英語」で転職できないかと、航空管制官試験を受けたら運よく合格した。当時は東京オリンピック目前だから英語の出来る人には職がいっぱいあり、待遇の悪い管制官の試験などを受ける人は少なかった。お蔭で辛い労働から解放されてホッとした。

羽田(東京)での教育訓練中に、この仕事は難しすぎると思った。口が回らず反射神経も鈍い、オマケに英語教育も受けていない。それでも止めようとは思わないのは、肉体労働がいかに辛いかは骨身に染みていたからだ。どこか私でも働ける場所がある筈だと一所懸命調べたらあった。それは北の都のO空港。空港とは名ばかりで実質的には陸上自衛隊第X飛行隊が使用する飛行場である。

民間機は日本国内航空の定期便等がホンの少し、残りの90%は陸上自衛隊の軽飛行機とヘリコプターだ。パイロットは99%日本人、しかも90%はO空港を本拠地とする陸上自衛隊機である。だから苦手な英語は必要ないのだ。英語を簡略化した管制用語だけで仕事はできる。複雑なことは日本語で話せばすむのだから何の不安もない。

陸自機は殆どが同じ飛行隊に属す軽飛行機だから秩序正しく飛んでくれる。しかもユックリと。こんな有難い職場は日本中でここ一つしかない。あっても自衛官しか勤務出来ないから航空局の職員では行くことが出来ない。一生、ここに居ようかと思ったが、そうは行かなかった。穏やかな暮らしは1年半で終わった。普通の管制施設に転勤になったのだ。もちろん英語も敏捷性も必要だ。しかも忙しい。

虚弱体質だから肉体労働は出来ないし転職する為に必要な技術もない。止められない以上は真面目にコツコツと努力するしかない。疲れる、ノロマ、出来ないは禁句。真面目な人と評価された。しかし敏捷性が求められる仕事だから認められることはない。野球に例えれば万年二軍の状態だ。退職の日を夢見て真面目に勤め、全力で頑張った。本当は楽をしたい怠け者なのに、不本意ながら仕事一筋?

退職して気分がとても楽になった。ある時に初めて「私はノロマだ」と言ってみたら、気分がとても楽になり、それを言うのが癖になってしまった。次は「虚弱体質宣言」、この二つの言葉を発したら心が解放された。何となく幸せを感じて嬉しかった。苦手なことを出来るふりする偽りの人生は終わったのだ。

2009年のことだが、北海道新聞から『朝の食卓』と言うコラムを書くことを頼まれた。その時、執筆者略歴に必要なので職業を知らせるように言われた。公務員と書いたら職種を問われたので航空管制官と書いた。退職後、元の職業を言ったのは初めてだった。これがキッカケとなり過去に関する拘りから解放された。

拘りとは情けない過去を完全に葬ることだった。退職を人生のスタートとする為に、過去を忘却することに拘っていたのだと思う。10年ひと昔と言うが本当だと思う。今は何の拘りも無い。一切の拘りが無くなり、自分に素直になれた。

何だか子供の頃に戻った様な気がする。少年時代の些細な出来事まで脳裏に浮かぶ。記憶は定かでないが、アメリカ民謡で「峠の我が家」と言う曲だったろうか? 英語で歌いたいからカナふってくれと、兄に頼んだら、「カタカナは日本語だ」と断られた。こんなことさえ懐かしく思い出だす。

今も同じようなことをしている。否、もっと悪いかも知れない。在職中に一生懸命英語らしくしようと思って回らない口を無理に回したので、日本語(カタカナ)でも英語でもない妙な発音になってしまった。40年もかけてついた悪い癖は修正不可能だ。こうなったら何もかも今のままでいいと思うより他はない。年を取ることは有難い。自分を含め、誰でも何でも肯定できるようになる。 これでいいのだ!! 天才バカポン

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【2016/06/04 00:00】 | 照る日曇る日
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路傍の石
「趣味の英語」で生涯の職を得たのですから、
「下手の横好き」と仰るのはきっと謙遜なのでしょう。

自分がとても気にしていることを、他人はそれ程気にしていないってこと、
ありますよね。

>兄に頼んだら、「カタカナは日本語だ」と断られた。

思わず 「フフフ」・・・
PPさんの文章は楽しい!



お陰様で趣味の世界に戻れました
PP
英語も一人で好きだ、趣味だと言っている内は楽しかったのです。
仕事に就いたら全く向いていないことが分かりました。
それからは真面目一筋、ふざける余裕はありません。

お陰様で好きだ趣味だ、の世界に戻ることが出来ました。
思わず 「フフフ」・・・は嬉しいですね。
笑ってもらいたくて書いていますから。


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この記事へのコメント
「趣味の英語」で生涯の職を得たのですから、
「下手の横好き」と仰るのはきっと謙遜なのでしょう。

自分がとても気にしていることを、他人はそれ程気にしていないってこと、
ありますよね。

>兄に頼んだら、「カタカナは日本語だ」と断られた。

思わず 「フフフ」・・・
PPさんの文章は楽しい!

2016/06/05(Sun) 20:06 | URL  | 路傍の石 #-[ 編集]
お陰様で趣味の世界に戻れました
英語も一人で好きだ、趣味だと言っている内は楽しかったのです。
仕事に就いたら全く向いていないことが分かりました。
それからは真面目一筋、ふざける余裕はありません。

お陰様で好きだ趣味だ、の世界に戻ることが出来ました。
思わず 「フフフ」・・・は嬉しいですね。
笑ってもらいたくて書いていますから。
2016/06/05(Sun) 22:38 | URL  | PP #kEawCMz.[ 編集]
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