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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
朝食はテレビを消して話しながら食べている。ノロマの私は食事中なのに食べ終わったQPは新聞を読みながら話しかけてくる。
「悪質な自転車は安全講習が義務化だって」

そうですか、と言いながら福岡のアーケード商店街を歩いていた時の自転車事故被害を思い出した。後ろから来た自転車にぶつけられて、転んで倒れて、逃げられたことである。それがきっかけで6年前のことが頭に浮かんだ。今朝と同じように朝の食卓での雑談だ。おぼろげながら次のように記憶している

「前方の歩道を年配女性三人が並んで歩いていました。後ろから来た自転車のお母さんがチリンと軽くベルを鳴らした瞬間です。女性の一人が振り向き『偉そうにならすんじゃない!車道を走んなさいよ』とすごいけんまく。車道は交通量が多く自転車では危険でした。少しだけ寄ってもらいたかったようです。以下略(北海道新聞2009年5月18日夕刊はいはい道新より抜粋)」

「横いっぱいに並んで歩いたら迷惑だよ」と、QPが口を尖がらせて新聞を見せた。
「避けて欲しいからとベルを鳴らすのは間違いです」と、読んだ私はつぶやいた。
「じゃあどうするの? 自転車が通れないんだよ」
「通れなければ止まるのです」
「バカ言ってんじゃないよ。止まってばかりなら歩いた方がましでしょ」

私は極めて真面目に話しているつもりだ。後で道路交通法で確認したが「自転車が歩道を通行する場合、(中略)歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければならない」と記されていた。そこが歩道上であることがポイントだ。

「横並びで歩くなんて通行妨害だよ。迷惑でしょ」
「止まってから通してくださいと言えばいいのです」
「だからベルをチンと鳴らしたんじゃない。どこが悪いの」
「そのチンが悪かったのです」

道交法では次のように定めている。
「自転車のベルは、警音器であり、自動車のクラクションに相当するものである。『警笛鳴らせ』の道路標識がある場所では、ベルを鳴らさなければならない。それ以外には、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、ベルを鳴らしてはならない」

新聞の話からは、マナーの悪い歩行者に思えるが、これは見た人の主観。すごいけんまくとか感情的な表現を割り引いて読めば、その女性の発言は大筋において正しい。道路交通法が求めているのは自転車の一時停止である。

「分かりましたか。後ろからチンと鳴らすと言うことは、背中にナイフを突きつけ、どかないと刺すぞと脅かす様なものですよ」と、つい調子に乗って喋ってしまった。今度こそはギャフンと言わしたぞ、と思ってしまったのだ。
「軽くチンと鳴らして知らせて上げただけじゃない。どこが悪いんだよ!
と、一喝されてタジタジとなる。
「ごめんなさい。言いすぎました。背中にナイフは取り消します」

6年前の言い争いは、こんな風に終わったと記憶している。私はQPにメシを食わせてもらっている身だから、自己主張もこの辺りが精いっぱいだ。さっさと矛を収めた。

働いている時は私が給料を運びQPが家事をすると言う分業が成り立っていた。無職になってバランスが崩れたのに、家事を分担しようとする気持ちが全く湧いてこない。甘えて、楽して、ときどき威張りたがる。我ながら困った人間だ。

ところでここまでは6年前の記憶をまとめたもの。再び今朝の食卓に戻ることにする。私がデザートを食べている頃、QPは「悪質自転車問題」記事を読み終ったようだ。

「歩道では歩行者優先だから自転車は止まらなければいけないんだよ。分かった?」
「人が邪魔で前に進めないときは、どうするのですか」
「すみません。通して頂けますかと、お願いすればいいんだよ」
「そんなに丁寧に頼むのですか」
「当たり前じゃない。横並び歩きとか、そこを通してもらうことはマナーの問題だから丁寧で当たり前だよ。一時停止は法律の問題だから何も考えずに止まればいいの」
「こんな話、以前しましたね」
「初めてに決まってるでしょ。今朝の新聞で読んだんだから」

仕方がないから「そうですね」と言った。6年も前のことをネチネチと覚えていて反芻している私がこだわり過ぎなのだ。QPにしてみれば忘却の彼方。時効である。

私説(社説の真似事)
自転車の歩道通行が「例外処置」として認められたのは1970年。急増する交通事故対策として一時的な措置のはずだった。しかし、いつの間にか歩道走行が一般化し、暴走行為までが放置されていた。道交法の趣旨は歩道における歩行者優先だが顧みられることはなかったのだ。

悪質な自転車運転者に安全講習を義務付ける制度が6月1日から始まる。14項目の悪質運転危険行為には「歩行者用道路での徐行違反」「歩道での歩行者妨害」等の歩行者優先規定も含まれている。

やっと歩道における歩行者の安全にも目を向けてくれた。遅すぎた対応だが一歩前進には違いない。(QPとの論争に敗れた)6年前に比べれば新しい制度は歩道上の安全に一歩踏み込んだ形だ。不可解なのは一時的な措置だったはずの「例外処置」が40年以上も続いていることである。これでは法はあっても無いのと同じだ。なぜ長期間にわたりこんな不都合な状態が放置されていたのだろうか。疑問は尽きないが将来を見据えてしっかりと取り組んでほしい。

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