朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
札幌シニアネット(SSN)カラオケクラブの皆様、いつもお世話になり有難うございます。会場では皆様の歌に引き込まれご挨拶も出来ず失礼しています。代わりにはなりませんが、カラオケにまつわる思い出話をさせて頂きました。

お爺さん3人でカラオケに行った。50年来の付き合いだから気楽なもんだ。音程など気にしないで好きなように楽しんでいる。それで面白いかというと何とも言えないが、ゆったりとした気分でのんびり過ごした。

そもそもこの三人は、カラオケとか遊ぶことには全く縁がなかった「片隅の仲間」だ。スポーツと遊びが盛んな職場では、三人とも真面目一方で目立たない存在だった。ひょっとして、面白くない人として密かに目立っていたのかも知れない。

A君とB君は根っから真面目で、仕事も普通に出来る人。一方私は真面目なフリをしている、ろくでもない人間だった。どんな職場でも不真面目で仕事の出来ない人間の居場所はない。向いていない仕事についてしまった私は、不本意ながら真面目にしていた。

根がろくでなしの私には信じ難いことだが、生まれつき真面目な人もいる。A君は真面目以外を全く認めない人だった。偽物の私から見れば面白くない人だ。そのかわり面倒見が好くて信頼できる人。B君も同じようなタイプだが、たまに隠れて悪いこともする。他人の土地に無断で駐車するとか。

A君はその真面目さが認められて20人の部下を持つ身に昇進した。あの真面目一方で遊び知らずのA君がカラオケをやり始めたと聞いて驚いた。管理職になったらカラオケくらい付き合えなければと、真面目に考えて一生懸命練習したようだ。

と言うことで片隅の三人カラオケでも微妙な格差が生じた。1番A君、2番私、3番B君という序列ができたのだ。B君は歌手の名も曲名もほとんど知らない。 「泣けた泣けたとか言うのあったよな」とか聞くので、私が「別れの一本杉」と入れて上げる。つまり、実技は音痴の私よりマシだが歌やカラオケについての知識が全くないのだ。

A君はとても楽しそうに歌う。妙に鼻にかけた声を出したり、ゼスチャーもオーバーでマイクも激しく動いている。真面目な人柄とのギャップが大き過ぎて可笑しかった。軽い違和感を覚えたけれど、三人で楽しんだことに比べれば取るに足らないことだった。それなのに何故覚えているかと言うと、35年前の「事件」を思い出したからだ。

カラオケとは不公平なものだ。自分が愉快になり身振り手振りを入れて楽しく歌えば周りも楽しくなり盛り上がる。ただし、これは格好良くて上手い人の場合。音痴でユデダコのような顔をした私がやるとどうだろう。悲しくなるので書くのも嫌だ。どうして私が愉快になり、それを声と体で表現しては悪いのだ。余りにも不公平ではないか!

「ねぇ、そう思うでしょう」
「絶対に思わない。迷惑だ。気味が悪いから見たくもないし聞きたくもない」
「順番だから歌えと言われたんですよ」
「変に恰好つけないで、真面目に素直に歌えばいいんだよ」

こんな話なら分からないこともないが、ある人に「お前みたいな奴は歌ってはダメだ。順番でもダメだ。頼まれても歌うな」と繰り返し言われた。こう非難するのは、全国各地からの寄り合い所帯の職場の中で、ただ一人地元出身の同僚だった。故郷の合唱グループにも入っていたらしい。

酒に酔ってのことだが、何でこんなに激しく非難するのか訳が分からなかった。とは言え、長生きはするものだ、あれから35年たった今、その謎がやっと解けたのだ。申し訳ないことだが熱唱するA君の姿を見て分かったのだ。本当にカラオケは辛いよ。すれ違いが怖い。

自分がいい気持ちで幸せの絶頂にあるときが顰蹙を買う時なのだ。淋しいではないか。いつも「楽しんで歌えばいいんだよ」と言うから、真に受けて心の底から楽しんじゃったら叱られた。衆人環視の中でそれをやってしまった私がバカだった。

「夜霧」と言う名のキャバレー風の飲み屋でのことだった。舞台もある、100人も入れそうな大きな店だ。人口3万の町では一番大きな夜の社交場である。ホステスは当時40歳くらいだった我々よりも、相当年上の農家の女性とか。農閑期のアルバイトのようだ。酔った私は、こともあろうに舞台に上がって音痴なのに大熱唱。さぞかし驚いたことと今なら分かる。

考えてみれば周りの人たちは私にとっては知らない人だが、地元出身の同僚にとっては知人友人も多い。合唱仲間も居たかも知れない。顔から火が出るほど恥ずかしかったに違いない。私の恥を自分の恥と捉えてくれたのだ。関係ないのにね。ホントにいい人だ。

歌うなと言われて以来、大反省して30年はカラオケに行かなかった。しかし、この話には裏がある。同僚は私に歌うなと繰り返して、3時間以上も文句を言い続けたことを全く覚えていない。「事件」から半年もたってから、ベロンベロンに酔って言い立てたことだ。心の底から出た無意識の叫びだった。これじゃあ尚更つらいよね。

このブログは毎週土曜の更新。来週もよろしくお願い致します。

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【2015/04/11 00:00】 | 札幌シニアネットssn
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思わず “クスリ!“
路傍の石

>ひょっとして、面白くない人として密かに
>目立っていた のかも知れない。
これには 「ハハハ」 と笑ってしまいました。

平凡な事でもユーモアに変えてしまう。
流石PPさんの文章力は凄い!!





ジョークが大好
PP
コメント有難うございます。
ジョークが大好きなのですが、
ノロマだから、口で言えないのです。
それで書いています。
これからもよろしくお願いいたします。

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コメント
この記事へのコメント
思わず “クスリ!“

>ひょっとして、面白くない人として密かに
>目立っていた のかも知れない。
これには 「ハハハ」 と笑ってしまいました。

平凡な事でもユーモアに変えてしまう。
流石PPさんの文章力は凄い!!



2015/04/12(Sun) 14:36 | URL  | 路傍の石 #-[ 編集]
ジョークが大好
コメント有難うございます。
ジョークが大好きなのですが、
ノロマだから、口で言えないのです。
それで書いています。
これからもよろしくお願いいたします。
2015/04/12(Sun) 21:26 | URL  | PP #kEawCMz.[ 編集]
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