外から入って来た人にとってテントの中は真っ暗だ。まだ目が暗闇になれていないのだから、お化けと間違えるのも無理もない。しかし、恥ずかしい。
お化け屋敷の経路の概略は次のようになっている。
入口 → 暗闇通路 → 明るい外通路 → 暗闇通路 →
→明るい外通路 → 暗闇通路 → 出口
明るい外通路はショウウインドウのようなものだ。大勢の見物人が見ている前を通るのは、何となく恥ずかしい。最初の外通路を出口と勘違いしたが、お化け屋敷はこれからが本番。再び暗闇に入ると、人間が仮装したお化けの登場だ。 怖いもの見たさの期待が次第に高まってくる。
女子高校生グループが、二人のお化けに驚かされてキャーキャー逃げ回る。次は小学生グループ。みんな逃げ回っているが楽しそうだ。 いよいよ私の番だ。期待で胸が膨らむ。しかし、お化けに近づいても、じっと立ったままだ。さらに近づいてもそのまま。「驚かさないのですか?」と聞くと、右手を左右に振ってニヤニヤしている。なんという態度だ。仮面を被っていてもニヤニヤしているのは分かる。 お化けに無視されて淋しい思いをした。
これからしばらくはお化け屋敷の山場、お化けに追いつ追われつ、一番楽しい場面になるのだが、私だけは一人で散歩だ。 公園の散歩となんも変わらない。電気がピカピカとか蛍光塗料の絵や、おどろおどろしい模様は見えるが、それだけでは面白くない。 お化けに追いかけられてキャーキャー逃げ回って、初めて満足するお化け屋敷なのだ。
お化けにも相手にされずトボトボ歩いていると、前とは違う「外通路」にでた。 ここは入口の右側にあり、目の前には見物人がいっぱいいて、こちらを見ている。とても恥ずかしい。二度とこんな場所には来たくない。再び暗闇に入って歩くと、またさっきの「外通路」にでてしまった。相変わらずたくさんの見物人がいる。 呼び込みのおばちゃんの声が聞こえる。
「すごい騒ぎが起こっています。 このお化け屋敷の中で…。 ちょっと、そこは通路じゃないよ。そこの社長さん! さらし首になっちゃうよ」
言われなくても分かっている。もう十分さらし者になっている。 一体どうしたら、この迷路から出ることが出来るのだ。 ふと見ると「迷いの道」と書いてある。いい歳をして、何回も出たり入ったりしたら恥ずかしい。 しかし、実際にそのような状況に陥ってしまったのだ。仕方がないからお化けに聞いた。「出口どちらですか?」 黙って指を指した。お化けは口を利いてはいけないらしい。
お化け屋敷の経路の概略は次のようになっている。
入口 → 暗闇通路 → 明るい外通路 → 暗闇通路 →
→明るい外通路 → 暗闇通路 → 出口
明るい外通路はショウウインドウのようなものだ。大勢の見物人が見ている前を通るのは、何となく恥ずかしい。最初の外通路を出口と勘違いしたが、お化け屋敷はこれからが本番。再び暗闇に入ると、人間が仮装したお化けの登場だ。 怖いもの見たさの期待が次第に高まってくる。
女子高校生グループが、二人のお化けに驚かされてキャーキャー逃げ回る。次は小学生グループ。みんな逃げ回っているが楽しそうだ。 いよいよ私の番だ。期待で胸が膨らむ。しかし、お化けに近づいても、じっと立ったままだ。さらに近づいてもそのまま。「驚かさないのですか?」と聞くと、右手を左右に振ってニヤニヤしている。なんという態度だ。仮面を被っていてもニヤニヤしているのは分かる。 お化けに無視されて淋しい思いをした。
これからしばらくはお化け屋敷の山場、お化けに追いつ追われつ、一番楽しい場面になるのだが、私だけは一人で散歩だ。 公園の散歩となんも変わらない。電気がピカピカとか蛍光塗料の絵や、おどろおどろしい模様は見えるが、それだけでは面白くない。 お化けに追いかけられてキャーキャー逃げ回って、初めて満足するお化け屋敷なのだ。
お化けにも相手にされずトボトボ歩いていると、前とは違う「外通路」にでた。 ここは入口の右側にあり、目の前には見物人がいっぱいいて、こちらを見ている。とても恥ずかしい。二度とこんな場所には来たくない。再び暗闇に入って歩くと、またさっきの「外通路」にでてしまった。相変わらずたくさんの見物人がいる。 呼び込みのおばちゃんの声が聞こえる。
「すごい騒ぎが起こっています。 このお化け屋敷の中で…。 ちょっと、そこは通路じゃないよ。そこの社長さん! さらし首になっちゃうよ」
言われなくても分かっている。もう十分さらし者になっている。 一体どうしたら、この迷路から出ることが出来るのだ。 ふと見ると「迷いの道」と書いてある。いい歳をして、何回も出たり入ったりしたら恥ずかしい。 しかし、実際にそのような状況に陥ってしまったのだ。仕方がないからお化けに聞いた。「出口どちらですか?」 黙って指を指した。お化けは口を利いてはいけないらしい。
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