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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
「家庭的で良い夫」と言われてきた私だが、人生黄昏ともなれば、「これでいいのか」との思いも芽生えてくる。

女性6人男性2人のグループで忘年ランチ会を開いた。喫茶店での二次会に移り、お馴染みの話題でお喋りも盛り上がっていた。もしも宝くじで3億円当ったらどう使おうという、あの話である。

「私なら豪華客船に乗って世界一周旅行がいいな」
「それじゃ余っちゃうよ。2億円の豪華マンションを買って~、残りはどうしようかな」
「何をつまらないこと言ってるのよ。3億くらい自由に使っていれば、いつの間にか無くなってしまうよ」

こう言い放ったのは海外、国内問わず1年の内半分は旅行している、お金持ち風のA子さんだが、突然こちらを向くと、「アンタさっきから黙っているけど、何に使いたいの?」

急に振られた私は、その場の空気も読めず、思わず本音を漏らしてしまった。
「私は、若者を育てるというか、奨学金にするのがいいと思います」
「何を格好つけてるのよ~。モテようと思ってぇ~」
「お金は教育の為に使うのが一番良いと思いますが…」
「いいから、いいから、次のひと~」

人にものを尋ねたら最後まで聞いて欲しい。私は札幌の至宝「中島公園」を良好な状態に維持して次世代に引き継ぎたいと考えている。このままにしておけば都会の波に飲み込まれてしまうだろう。ビルに囲まれた、藻岩山の見えない中島公園。果たして、これは先人が望んだ姿であろうか。

この状態を打開する為には、若い優秀な頭脳と力が必要だ。本来、自治体や国が行うべきことだが、彼らは現状を認識することさえ出来ない。もし3億円あれば、起爆剤としては充分だ。これを有効に使わない手はない。

A子さんも、なんやかや言っても十年ごしの付き合いだ。皆との話が途切れれば、私の話も聞いてくれる。しかし、反応は相変わらず厳しい。

「あんた、ケチのくせに、考えることだけは気前いいのね~」
「少しは見直して頂けたでしょうか」
「ケチと無教養はダメよ。亭主より格好の悪い男もダメ!」
「ご主人はヨボヨボのガリガリと伺っておりますが…」
「やせても枯れても、伝統あるH大スキー部のキャプテンよ」
「それは昔でしょ。今はどうなんです」
「社長よ!」

15年間の付き合いだが、A子さんの夫が社長とは初めて聞いた。これだからシニアの付き合いは面白い。 再び話題を3億円に戻そう。もしも3億円当たったら、迷わず中島公園救済の為、びた一文余すことなく使うだろう。 宝くじを当てた人間が、滅び行く老舗公園の未来の為に使う。自分の運を活かす為、社会に還元する。至極当然のことである。決して格好つけているわけではない。

「それで…。あんた、何枚買ったのよ~」
「… … …」
「え~ぇ。買ってないの~ぉ。あ・き・れ・た」
「…」