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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
2回目の訪問でようやく入店できた。
「わたくし、カモ博士と言われてますの」
「中島公園カモ番記者です。1月の鴨の水辺危機の際には多少なりとも、お役にたったのではないかと自負しています」
「あれは、わたくしが、お電話差し上げたので鴨ちゃんが助かったのよ」とKさん。

あれとは、河川工事の為、鴨々川の水が止められ、行き場を失ったカモたちが上空を右往左往したこと。エサを求めて川から地下鉄幌平橋駅まで歩いて来たカモでいっぱいになったこと。これが新聞に載り、ある程度緩和され、カモの異常行動が治まった話題のことである。

薄野の西にある「小さなスナック」での会見は、見栄の張り合いで始まった。
「初めて会ったとき、私のこと怖いと思わなかった? 私も怖いのよ。ナンパする人いるんだから」

あれは3年前のこと。中島公園でママさんが鴨に餌をやる姿を見て、「こんにちは」と声をかけると、私をジロリと見て、そっぽを向くではないか。ずいぶん愛想のない人だなと思った。以来2年半、公園内でのすれ違いが、数え切れないほどあったが、お互いに知らん振りしていた。

「お客さんから何と呼ばれますか」
「ママさん、ママ、ババア、Kさん、Kちゃん」
「ババアはひどいですね。Kちゃんにしましょう。息子と同じくらいですから」

Kちゃんは若いころ、視力が下がる病気に罹ったそうだ。医者から緑を見るように薦められ、近くの中島公園に通うようになった。そこで出会った鴨が愛らしく、やみつきになったそうだ。以来13年間、吹雪の日も病気の日も、休むことなく、鴨に餌を与え続けている。