2010年12月10日付北海道新聞「朝の食卓」掲載
10月末のことだが、新聞の見出しを見てビックリした。「ANK機異常降下」「初歩的ミスあわや大惨事」|。以前、私が航空管制官として働いていた職場で起きたことなので、退職して10年たつとはいえ、よそ事とは思えなかった。嫌でも当時のことを思い出す。一瞬で判断し、素早い対応を求められる管制官としての職務は、過酷なものだった。
管制の指示は「上昇せよ」「降下せよ」「右に曲がれ」「左に曲がれ」と、一つひとつは極めて単純だが、いろいろ組み合わされて複雑な状況が作られる。一部分を切り取れば全てが初歩的ミスになる。優秀な人も、真面目な人もミスをする。ミスを減らすことはできても、絶対にゼロにはならない。
その翌日の新聞には、航空事故に関する裁判の記事が載っていた。2001年に静岡県沖上空で発生したニアミス事故について、管制官の刑事責任が確定されるそうだ。2人の被告は失職するだろう。
しかし、それで解決と言えるのか。ヒューマンエラーが事故に結びつかないような管制システムの構築こそ大切と思う。ハードとソフトの両面から整備する必要がある。在職時代を振り返れば、ハードのみが先行して、要員・訓練・運用などのソフト面が追いつかない印象がある。今はどうなのだろうか。
10月末のことだが、新聞の見出しを見てビックリした。「ANK機異常降下」「初歩的ミスあわや大惨事」|。以前、私が航空管制官として働いていた職場で起きたことなので、退職して10年たつとはいえ、よそ事とは思えなかった。嫌でも当時のことを思い出す。一瞬で判断し、素早い対応を求められる管制官としての職務は、過酷なものだった。
管制の指示は「上昇せよ」「降下せよ」「右に曲がれ」「左に曲がれ」と、一つひとつは極めて単純だが、いろいろ組み合わされて複雑な状況が作られる。一部分を切り取れば全てが初歩的ミスになる。優秀な人も、真面目な人もミスをする。ミスを減らすことはできても、絶対にゼロにはならない。
その翌日の新聞には、航空事故に関する裁判の記事が載っていた。2001年に静岡県沖上空で発生したニアミス事故について、管制官の刑事責任が確定されるそうだ。2人の被告は失職するだろう。
しかし、それで解決と言えるのか。ヒューマンエラーが事故に結びつかないような管制システムの構築こそ大切と思う。ハードとソフトの両面から整備する必要がある。在職時代を振り返れば、ハードのみが先行して、要員・訓練・運用などのソフト面が追いつかない印象がある。今はどうなのだろうか。
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