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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
2009年10月1日北海道新聞「朝の食卓」掲載

2年前の今ごろのことだった。札幌市の中島公園近くに住むHさんから、川に泳ぐサクラマスの写真を添えた一通のメールが届いた。「こんな小さな川に産卵に来るなんて、とても神秘的に思えてなりません」。こう結んであった。中島公園を流れる鴨々川にサクラマスが遡上(そじょう)してきたというのだ。まさかと驚いた。

新聞で報道されてからは、鴨々川で写真を撮る人の姿が絶えなかった。そのころ恒例の「クリーン鴨々川清掃運動」があり、主催者も「私たちの河川清掃運動が実を結んだ」と胸を張った。

都心近くの公園で、自然界と同じような営みの中で、新たな命が生まれる。まるで夢を見ているようだ。しかし、事実は違った。原因は、豊平川から鴨々川へ流れる水量を最高5倍まで増やす河川工事のせいだった。水の流れが強くなり、豊平川を遡上するサクラマスが、取水口から吸い込まれ、中島公園を流れる鴨々川に迷い込んだのである。

河川工事をしたのは人。遡上と勘違いして喜んだのも人。保護のため、捕まえて豊平川に戻したのは、豊平川さけ科学館の人。 サクラマスにとって人とは何だろうか。 環境問題を考えさせられた出来事だった。