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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
2009年 1月9日北海道新聞「朝の食卓」掲載
第1回「まだ小学生」
「話し方がイマイチだねえ」。地元のコミュニティーFM局に初めて出演した時、番組を聞いた友人に言われた。ラジオで話すのは初めてだ。思うように口も動かないし、頭も働かない。 こう考えることにした。私自身をリセットし、退職時を小学校入学時と考えればいいのだ。不評には「まだ、小学生だからね」と応じればいい。

退職して約8年になるが、生活は期待以上に充実している。ものを書き、ラジオで話し、自由に情報発信できることが何より楽しい。「書くことは恥をかく」と言われるが、私は話しても恥をかく。それでもやってしまうのは、なぜだろう?

それは経験がないからだ。もし、若いころに経験があれば、難しさも分かるので躊躇(ちゅうちょ)する。 あるいは、今さら勉強しても当時の水準に戻すことはできないと思い、やる気が出ないのではないか。

経験がないから未知の世界に出会うことが楽しく、新鮮に感じるのだろう。何のことはない、子どもの世界に戻ったようなものだ。退職当時は「ぬれ落ち葉」とか「粗大ごみ」とか、定年退職者をやゆする言葉がはやっていた。多少不安を抱いていたが、多くの人との出会いが解消してくれた。

「友だちが百人できたよ」と私。冗談めかして妻は言った。
「良かったね。小学生のおじいちゃん」