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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
私は愚かで見栄っ張りの困った人だ。おまけに大したことでもないことを自慢したがる。もし賢ければこんなことは自慢に値しないと分かるだろう。見栄っ張りでなかったら書く気もしない。……でも、私は書きたい。

何でこんな人になってしまったのだろう。愚痴るし、言い訳ばかりするのに屁理屈をこねるのが大好きだ。嫌われると分かっているのに、自慢したがってふるえている。こんな性格は生まれ変わらない限り治らないと諦めた。

長い間生きていると、時には不思議なことが起こるものだ。市税務事務所から思いもよらぬ郵便物をもらってしまった。50枚もあるだろうか。分厚いので読む気もしないので電話した。

「税金のことでお伺いしたいことがあるのですが……」。係の対応は懇切丁寧で、話していても気持ちがいい。ぜひ税金を払いたいという気持ちが自然にわいてくる。

「新聞社から原稿料もらったのに申告していませんね」
「税金は差し引かれていましたが……」
「あれは国税でして、こちらは市税の関係です」
「そうなのですか。知りませんでした。どうしましょうか」
「書類を提出してください。税金は掛からないと思いますよ」
と、経費のことなどを詳しく説明してくれた。だけど書類は分厚いので書くのは面倒だ。第一読む気がしない。仮に読んだとしても理解できないだろう

「書かないとどうなりますか?」
「税金を納めてもらうことになります」
「その場合、私は何をすればいいのですか?」
「何もしなくて結構です。1万7千円程度ですが自動的に引き落とされます」

何もしなくてよい。これで決まりだ。心から納得して諒解した。苦手な書類作りから解放されてホッとした。1万7千なら安いものだ。3万円もらってもしたくない。私にとって書類を書くということは、芥川賞をもらうことと同じくらい大変なことなのだ。

考えてみれば、原稿料をもらって税金を納めるなんて素晴らしい。無学で字も満足に書けない私が、駄文を書いて金をもらうなんて夢のようだ。全部税金として納めても惜しくないのに、10%しか取られない。こんな有難い話はない。

と思ったのもつかの間、なぜか税金を納めた後になって愚痴りたくなった。我ながら煮えきらなくて嫌になる。改めて市からの受領文書を読むと、そこには次のように書いてあった。「……その他の所得(収入から必要経費等を引いた残り)が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります」。

あれれっ! もらった原稿料は17万足らず、もともと申告などする必要がなかったのだ。突然ケチな私に戻って金が惜しくなった。役所からの文書はもの凄く分かり難い。だから読みたくない。一部を読んで勘違いしたのかも知れないが、済んだことなので諦めた。今度こそ本当に諦めたぞ。これからは淡泊に生きるのだ。

「いずれにしろ後の祭りでした」
「全部税金でいいと言ったろう。今更なんだ」と先輩は相変わらず手厳しい。
「口が滑ったのですよ。なんだか損したような気がしてきました」
「ホントにそれだけか……? まあいいや」
「話し始めたら途中で止めないでください!」
「そうかい。それなら言ってやろう」
「どうぞ」
「本当は自慢したくなったのじゃあないか」
「あれっ、心が読めるのですか?」
「顔に書いてあるよ。鼻がふくらんで自慢タラタラだ」
「タラタラは鼻水ですよ。風邪をひきました。ハックション」

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【2015/07/25 00:00】 | 愚かな私
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ふるえのネタ
路傍の石

その後、風邪の具合は如何でしょうか?

○○は風邪をひかないと言いますから、風邪をひいたPPさん、
これも 「自慢のふるえ」 のネタになりそうですね。


原稿料とかその税金とか、
フツーの人には全く縁のない話に、PPさんは悩まされている。

素晴らしい悩みじゃありませんか!

風邪はちょうど治ったところです
PP
有難うございます。風邪は丁度治ったところです。
昨日までは薬を飲んでいました。
自慢じゃないのですが風邪はよくひいています(笑)。

税金の話は最初は全てをぼかして書いたのですが、
読み返してみると誤魔化しそこねて悔しがっている感じでした。
それで、原稿料を含めた事実をそのまま書くことにしました。
今度は自慢話みたいに感じたので少し脚色しました。
一生で一度の思い出なので書かせて頂きました。

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