前回の続きだが言いたいことも言えないでいる。「私が紅茶を淹れるのだから、お湯も沸かしたい」と未だに言えないのだ。何だこんなことかとか思うかもしれない。これには深い訳がある。家庭の事情と言ってしまえばそれまでだが…。
ものごとの大小と問題解決の難易度は比例しない。よく観るドラマでは実際に起こりそうもないトンデモナイ試練を夫婦二人で力を合わせて乗り越えている。大きな問題でも対応次第では解決できるのだ。
それと比べて我が家の現実は、小さな問題でも大きくコジれてお互いにいがみ合う。こんなことを2,3回繰り返せば、その話題はタブーとなる。例えば、朝の紅茶は私が淹れているが湯はQPが沸かしている。量が多かったり少なかったり一定しない。これが問題だが、淹れる人が湯を沸かせば簡単に解決できる。しかし、そうは行かない。
「紅茶のお湯は私が沸かします」
「ついでだからやって上げるんだよ。人の好意を無にするんじゃないよ」
「多かったり少なかったりするでしょう」
「男のくせに細かいこと言うんじゃないの」
「もったいないでしょ」
「そんなこと言うなら、もう淹れなくていい!」
いつもこんな風に終わる。こんなことでは言うだけ損だ。
朝っぱらから何とも気まずいことよ。下を向いたり横を見たり、顔を見ないようにして黙々と食べる。味も素っ気もありゃしない。こんなに苦労をするのなら、お湯なんて誰が沸かしてもいい。勝手にしやがれ!
気が付けば今日は、かねてから予約していた北海道電力のアンペア変更工事の日だ。契約アンペアを50Aから40Aに下げた場合、基本料金が年間4,020円安くなるだけではないのである。ブレーカーが落ちないように配慮することが、節電を促すので万単位の効果があるかも知れないのだ。
それはともかく北電さんが来る。これは問題解決のチャンスだ。QPは私の言うことは聞かない。特に台所に関しては絶対に聞かない。しかし外部の人には全幅の信頼を寄せる。身近な私を全く信用しなのに何故だろう。ともかく他人様がやってくる。
これはチャンスだ。北電さんに話してもらおう。彼に調理用のヒーター(IHヒーター)について質問をする。その答えをQPと一緒に聞けばいい。電気関係の技術者の言うことならQPは聞く。私が同じことを話しても絶対に聞かないが…。
北電さんにどんな質問をするか一生懸命考えた。回りくどいかもしれないが、今の状態では私が「お湯」と言えば、QPは間髪いれずに「ダメ!」と言うだろう。不本意ながら、この問題はすでにコジれている。話し合いの余地など全くない。行き詰った国家間の外交交渉のように駆け引きも陰謀も必要な段階に入っている。
北電さんは意外に早くやって来た。簡単な挨拶の後、予め用意した質問をする。もちろん私は答えを知っている。北電さんの答えをQPに聞かせるための質問である。
「ヒーターの上に書いてある数字は何ですか?」
「3キロワット、2キロワット、1・2キロワットです」
「3キロと2キロ、それにレンジを同時使ったら…」
「目一杯使えばブレーカーが落ちるかも知れません。しかし……」
「お忙しいのに余計な質問などしてすみません。どうぞ作業をお願いします」
全部言ってもらっては困る。ブレーカーが落ちると言った瞬間にQPは心配そうな顔をした。これで充分だ。詳しく言えばいろいろあるが、私にとっては「言わぬが花」の部分もあるのだ。
紅茶を料理が出来上がるタイミングで淹れるのは難しい。これをQPに理解してもらうのは無理だから、とりあえず湯を沸かさせてほしかった。この交渉は失敗の連続だったが北電さんのお陰で別なアプローチが可能になった。これにて一件落着だ。
「年に4,000円以上の節電になるのですから、1.2キロも使いましょうね」
「使いにくいから使ってないんだよ」
「それでは私が使いましょう」
北電さんのお陰で年初来の懸念事項が簡単に片付いてしまった。明日の朝から私は紅茶用の湯を沸かすことが出来るのだ。そうすればタイミングよく紅茶を淹れることができる。料理が冷めない内に紅茶を用意できるのが嬉しい。因みにQPはできた順番に並べるだけで冷めることなど全く気にしない。
実は、1.2キロとはラジエントヒーターというもので、いろいろ使い道はあるが、エネルギー効率がやや劣る欠点がある。節電の目的を無にするようなことはしたくない。
しばらく使ったら他のIHヒーターを使うつもりだ。大切なことは古い習慣を止めさせて新しい習慣を作ることである。こうして我が家の改革は忍者のような忍び足で音もなく進む。私は忍者、忍び耐える人に憧れている。
自説を通すのにこれだけの回り道をする。それでもケンカをするよりはましだ。ケンカほど膨大な時間の浪費はない。私に残された時間は少ない。できるだけ有効に使いたい。生きている時間が長いだけではつまらない。
急がば回れ、どんなことでも解決したい意思さえ持ち続ければ、チャンスの方が勝手にやって来る。
「あきれたもんだよ恐妻亭主。オレだったら、一喝して即解決だ」
「QPは倍返し。二喝、返ってきますよ」
「女房はちゃんと躾けてあるから大丈夫!」
「お願いがあります」
「言ってみろ」
「取り替えてくれませんか」
「おい! 何を言う。 お前には常識というものが……」
「心を入れ替えたいのです」
「……やっぱり、ないんだな」
ものごとの大小と問題解決の難易度は比例しない。よく観るドラマでは実際に起こりそうもないトンデモナイ試練を夫婦二人で力を合わせて乗り越えている。大きな問題でも対応次第では解決できるのだ。
それと比べて我が家の現実は、小さな問題でも大きくコジれてお互いにいがみ合う。こんなことを2,3回繰り返せば、その話題はタブーとなる。例えば、朝の紅茶は私が淹れているが湯はQPが沸かしている。量が多かったり少なかったり一定しない。これが問題だが、淹れる人が湯を沸かせば簡単に解決できる。しかし、そうは行かない。
「紅茶のお湯は私が沸かします」
「ついでだからやって上げるんだよ。人の好意を無にするんじゃないよ」
「多かったり少なかったりするでしょう」
「男のくせに細かいこと言うんじゃないの」
「もったいないでしょ」
「そんなこと言うなら、もう淹れなくていい!」
いつもこんな風に終わる。こんなことでは言うだけ損だ。
朝っぱらから何とも気まずいことよ。下を向いたり横を見たり、顔を見ないようにして黙々と食べる。味も素っ気もありゃしない。こんなに苦労をするのなら、お湯なんて誰が沸かしてもいい。勝手にしやがれ!
気が付けば今日は、かねてから予約していた北海道電力のアンペア変更工事の日だ。契約アンペアを50Aから40Aに下げた場合、基本料金が年間4,020円安くなるだけではないのである。ブレーカーが落ちないように配慮することが、節電を促すので万単位の効果があるかも知れないのだ。
それはともかく北電さんが来る。これは問題解決のチャンスだ。QPは私の言うことは聞かない。特に台所に関しては絶対に聞かない。しかし外部の人には全幅の信頼を寄せる。身近な私を全く信用しなのに何故だろう。ともかく他人様がやってくる。
これはチャンスだ。北電さんに話してもらおう。彼に調理用のヒーター(IHヒーター)について質問をする。その答えをQPと一緒に聞けばいい。電気関係の技術者の言うことならQPは聞く。私が同じことを話しても絶対に聞かないが…。
北電さんにどんな質問をするか一生懸命考えた。回りくどいかもしれないが、今の状態では私が「お湯」と言えば、QPは間髪いれずに「ダメ!」と言うだろう。不本意ながら、この問題はすでにコジれている。話し合いの余地など全くない。行き詰った国家間の外交交渉のように駆け引きも陰謀も必要な段階に入っている。
北電さんは意外に早くやって来た。簡単な挨拶の後、予め用意した質問をする。もちろん私は答えを知っている。北電さんの答えをQPに聞かせるための質問である。
「ヒーターの上に書いてある数字は何ですか?」
「3キロワット、2キロワット、1・2キロワットです」
「3キロと2キロ、それにレンジを同時使ったら…」
「目一杯使えばブレーカーが落ちるかも知れません。しかし……」
「お忙しいのに余計な質問などしてすみません。どうぞ作業をお願いします」
全部言ってもらっては困る。ブレーカーが落ちると言った瞬間にQPは心配そうな顔をした。これで充分だ。詳しく言えばいろいろあるが、私にとっては「言わぬが花」の部分もあるのだ。
紅茶を料理が出来上がるタイミングで淹れるのは難しい。これをQPに理解してもらうのは無理だから、とりあえず湯を沸かさせてほしかった。この交渉は失敗の連続だったが北電さんのお陰で別なアプローチが可能になった。これにて一件落着だ。
「年に4,000円以上の節電になるのですから、1.2キロも使いましょうね」
「使いにくいから使ってないんだよ」
「それでは私が使いましょう」
北電さんのお陰で年初来の懸念事項が簡単に片付いてしまった。明日の朝から私は紅茶用の湯を沸かすことが出来るのだ。そうすればタイミングよく紅茶を淹れることができる。料理が冷めない内に紅茶を用意できるのが嬉しい。因みにQPはできた順番に並べるだけで冷めることなど全く気にしない。
実は、1.2キロとはラジエントヒーターというもので、いろいろ使い道はあるが、エネルギー効率がやや劣る欠点がある。節電の目的を無にするようなことはしたくない。
しばらく使ったら他のIHヒーターを使うつもりだ。大切なことは古い習慣を止めさせて新しい習慣を作ることである。こうして我が家の改革は忍者のような忍び足で音もなく進む。私は忍者、忍び耐える人に憧れている。
自説を通すのにこれだけの回り道をする。それでもケンカをするよりはましだ。ケンカほど膨大な時間の浪費はない。私に残された時間は少ない。できるだけ有効に使いたい。生きている時間が長いだけではつまらない。
急がば回れ、どんなことでも解決したい意思さえ持ち続ければ、チャンスの方が勝手にやって来る。
「あきれたもんだよ恐妻亭主。オレだったら、一喝して即解決だ」
「QPは倍返し。二喝、返ってきますよ」
「女房はちゃんと躾けてあるから大丈夫!」
「お願いがあります」
「言ってみろ」
「取り替えてくれませんか」
「おい! 何を言う。 お前には常識というものが……」
「心を入れ替えたいのです」
「……やっぱり、ないんだな」
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カスミ草
数年前、我が家も60Aから50Aにしました。
それでもこの数年間にブレーカーが落ちたのは2度位。
炊飯器、レンジ等 一緒に使える限度が分かってくると、さほど不便は感じません。
「あ~あ今まで 無駄な基本料金払っていたな~」と思ったものでした。
ラジエントヒーターは余熱が結構続きます。
カレーを作る時など、ひと煮立ちしたらスイッチを切ってルーも入れ、そのままにしておくと、ヒーターが冷める頃には食べ頃の柔らかさになっていますよ。
(でも1・2キロでカレーにはちょっと熱量不足かもしれませんが)
明朝から紅茶を淹れるのが楽しみでしょうね。
いろいろ勉強になりました
pp 60アンペアというとオール電化でしょうか。
今日遊びに言ってこの話したら、
戸建ての大きな家なのに10アンペアだそうです。
料理はガスだから大丈夫とか言ってました。
暖房はもちろん灯油。それにしても……。
ラジエントヒーターは、いろいろ使い道があるそうですが、
全然使ってないので私が使うことにしました。
マニュアルにはIH作ったものを
コトコト煮詰めるのにいいと書いてありました。
料理はしないけれど、いろいろ勉強になりました。
のん子 それ、良い方法ですね。
私の(亡)舅がそんな所があって、私が言うことには反対するのですが、それを権威のある人が言ってた風に言うと素直になるので、多いに利用させて頂きました。
国の例え話に、海に飛び込ます方法で、日本人には、「皆さんも飛びこまれましたよ」が面白かったです。
押してもダメなら引いてみよ、とか褒め殺しとかもありますね(^^ゞ
負けるが勝ちですね
PP のん子さんもいろいろ工夫なさっていますね。
働いているときは仕事とか、いわゆる社会が複雑で、
打つ手がないように感じていました。
ところが退職して二人ぐらいになるとテキは一人
しかいないので、すごく単純な社会になるのです。
打つ手がどんどん当たって楽しいです。
相手が一人というのは対応が易しいです。
一言でいえば負けるが勝ちですね。
ホントに勝っちゃうのですから不思議です(笑)。
「おごれる平家は久しからず」。自戒します。