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朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
退職しても悩みは尽きない。大きな悩みが無くなれば、小さな悩みが、今度はオレの番だとばかりに首をもたげて来る。何でこんなことに悩まなければならないのだ。悩みの質が低下している。こんな小さなことで悩む自分が情けない。

「12月25日はクリスマス音楽祭です。男性は黒いスーツに蝶ネクタイをして下さい」と、先生は言った。ここは高齢者対象の「やさしい英会話」教室。市内に5つある教室が1年に1回、合同で大ホールを借りきってイベントよやろうと張り切っている。

退職後最大の試練に遭遇して愕然とした。いい年して蝶ネクタイで舞台に立って歌うなんて恥ずかしい。穴があったら入りたいよ。

「どうしてもやらなければならないのなら、私の為に穴を一つ用意して欲しいですよ」
「相変わらず自分さえ好ければいいんだね」と、QPは厳しい。
「いったい誰のための音楽祭でしょうか」
「そりゃ、アンタがた暇人のためでしょう」
「私は嫌ですよ」

「行かなきゃダメだよ。アンタは完璧なヒマ人なんだからね」
「やることがいっぱいあるのですよ」
「やらなきゃならないこと一つもないじゃない!」
「暇つぶしなら好きな事をやらせてください」
「ダメ! 好きな事だけやったから偏屈になったんでしょ。絶対だめ」

毎年開いているそうだが、私にとっては初めての音楽祭だ。正直言って、これはエライことになったと思った。小学校の学芸会以来、舞台など上がったことがないのだ。 1回だけ上がったが口パクだ。先生が声を出さずに口だけ開けろと言うのだ。

蝶ネクタイまでするのだからやりきれない気持だ。普通なら教室の片隅で大人しくしているところだが、こんな理不尽な要求を突きつけられて、黙ってはいられない。間髪入れず異議を唱えた。

「蝶ネクタイは持っていませんが…」。気の小さい私にしては精一杯の抵抗だ。
「ご心配いりません。百円ショップで売ってます」と、軽くかわされてしまった。

この教室には分別のありそうなシニアが28人もいる。私が口火を切りさえすれば、「嫌だ。嫌よ」の大合唱が始まると期待したのだが、予想もできない反応に驚いた。

「一人ひとり買いに行くのも能がないので、私が取りまとめて買ってきましょう」と仰る方まで現れた。これも確かに分別だ。それだけではない。事態は私の思惑に反する方向に、どんどん進んで行った。

「先生、女性は白いブラウスに黒のスカートがいいと思いますが…」
「胸に赤いバラをつけるのはどうでしょうか」
「男性もつけてもいいですか?」

一体どうしたことだ! ここでは私の所属していた社会とはまったく違う常識が支配している。変わらなければならないのは私なのだろうか?

(続きは次週)

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【2014/06/21 00:00】 | 照る日曇る日
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シニアの蝶ネクタイ姿、ステキですよ。
カスミ草
PPさん、蝶ネクタイするのに年齢なんて関係ないと思いますよ。
しかもPPさんはこの事態を「退職後最大の試練」と仰る。
試練の意味、本当に分かっていらっしゃる?PPさん!!
(ご無礼な発言、お許しを)

精一杯の抵抗も百円ショップに負けてしまって、ショックだったでしょう。
でも何だか可愛いくて、クスッ・・・

次週を楽しみに待っています。

舞台にもいろいろあるんですね
pp
世間様に申し訳ないけれど、正真正銘の「退職後最大の試練」です。
今の私に悩みなどまったく無いのでsu。.蝶ネクタイはともかく、
舞台に上って人前で歌うなんて絶え難い試練ですよ。
結局、舞台にもいろいろあることが分かりまして、何で悩んでいたんだろう?
と言うことになりましたが、終わってみないと分からないものですね。
笑っている場合ではないですよ。穴は奥が深くて、不可解なものです(笑)。


カスミ草
二度目の登場、お目障りでしょうがお許しください。

穴に入りたい理由は、蝶ネクタイより舞台で歌う事のほうが主だったのですね。

私の読解力不足を証明したようで、こちらこそ
「穴があったらはいりたい」気持ちになりました。







穴に入るの止めましょう
pp
「同じ穴の狢(ムジナ)」じゃ不味いし、穴が二つ要るかと思ったら、
「人を呪わば穴二つ」では余計わるいですね。
お互い穴に入るのはやめましょう。青空の下で明るく生きましょうね。


のん子
英会話教室で歌ですか?
28人いらっしゃるんでしたら斉唱でしょうか?
多分2列位で並ぶんでしょうし、後列の端をgetすれば、そんなに目立たないかと?

お客さんも身内みたいなものでしょうし(^^ゞそんなに真剣にならなくても、お遊び感覚で良いのでは?

大体、何処のクラブでも発表会めいたものはありますよ。
どうしてもお嫌なら当日、病気でドタキャンも有りでしょうが、何でも経験と思って楽しんで下さいませ。
案ずるよりも産むが易しとか?(^^)/



笑い話のつもりでした
pp
のん子さん、今考えると何でもないことなんですが、
当時は相当なカルチャーショックがありました。
周りは知らない人ばかりで身内と思える人は一人もいません。
住む世界がまったく違ってしまったのです。
働いて居た時の社会と退職後の社会はまったく違って、
後から考えると、笑っちゃうのです。
笑い話として書いたつもりでした。


空見
こんにちは~(=^・^=)
ははぁ、自分が常識と思っていることが、他人には常識じゃなかったんですね^^;
要するに単なる思い込みなんですが、私もそんなこと多々あります。皆がいかにも嫌そうな顔で「いやねぇ・・」なんて言う場合、私は面白いと思っていますから、皆のそんな様子が逆に分らないんです。あんたは病気だと言われれば、ちょっと反論できませんが・・。
俳句の先生で藤田湘子という方が、「俳句を提出する段になって、やたら緊張するのは、実力以上に皆に褒められたいと思うためで、それはよくよく欲が深いからだ」と、本に書いていました。なるほどなぁ、と思いましたよ。
もしとんでもなく不出来なら、他人もろとも自分も一緒に笑えばいいのか。うんうん、そうだね、ただそうは言ってもですね、なまら「緊張感」という敵はなかなか去ってはくれませんけども。


なんじゃこれっ!
pp
空見さん、こんばんは~。
退職してはじめて老人福祉センターに行ったときは
驚くことがいろいろありました。
今になってみれば何ともないことですが、文化の違いですね。
それまでの世界では舞台に立って歌う人は
誰が見ても上手な人に決まっています。
下手な私が蝶ネクタイとか一人前の格好して舞台に上がるなど論外です。
今考えると可笑しいですが、ホントに悩みましたね。
まったく「なんじゃこれっ!」っていう感じですよ。

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