二人暮らしは力と力のせめぎ合いだが、QPの力は家の中だけで威力を発揮する。 一歩でも外に出れば、極端な低姿勢。 これでは私がたまらない。
こちらも知力で対抗しているつもりだが、家でしか通用しない奇妙な知恵だ。 どんな知恵かは、言わぬが花。どうせ外では役には立たない。
ある日のお昼、美味しそうな蕎麦屋に入った。 一番安いのが盛りそばだが、
1200円もした。 高いから量もあると思ったが、これが大間違い。
美味しいけれど、腹が満足しない。 もっと食べたいのだが、先立つものがない。 家に帰って、何か食べることにした。
確か、大好きなアンパンが一つ残っているはずだ。 ところが、家に帰って驚いた。 あるはずのアンパンが無い。一体どうしたことだ。
消えて無くなるわけがない。 QPの腹に収まっているはずだ。まったく腹立たしい。 私の気持ちも知らないで、テレビを観ながら笑っている。
「アンパン食べましたか?」
「昼ご飯、ちゃんと食べたんでしょう。 千円も上げたんだよ」
「質問に答えて下さい!」
「なんで、私がそんなこと言わなくちゃならないの」
これは怪しい。絶対に食べたに違いない。 アンパンの代わりに「食べた証拠」を探すことにした。 こうなったら意地でも証拠を見つけてギャフンと言わせたい。
隅から隅まで探してやるぞ。 流し台の引き出しを開けるとパン切り包丁があった。よく見ると少量のアンコがこびり付いている。見つけたぞ! 動かぬ証拠だ。
だが待てよ? 世の中にアンパンを包丁で切りながら食べる人がいるだろうか。 QPだって、そんなことはしないだろうと思っていると、突然記憶が蘇ってきた。

ところで、困った展開になってしまった。 ノックスの「探偵小説十戒」によると、「探偵が犯人であってはならぬ」そうだ。 どうも探偵であるはずの私が、犯人の様な気がする。
お察しの通り、包丁に付着したアンコが、私の記憶をよみがえらせたのだ。
昨日の朝、アンパンを半分ずつ食べた。 そのとき包丁で切ったのが、
なんと、この私ではないか! すっかり忘れていた。
こんなことでQPに「ボケ」とか言われたくない。 このピンチをチャンスに変えなければならない。 QPだって、昨日アンパンを半分ずつ食べたことを忘れていたではないか。 これをネタに揺さぶりをかけてみた。
「近頃、記憶力に心配はないですか」
「そんなことより、キッチンに こもって何してたのよ」
「あなたが認知症になったときは、私がご飯の支度をしなければならないでしょう。 勉強していました」
「そうだね。あんた何にもできないからね。しっかりしてよ」
「ところで、アンパンのことで話があります」
「そんなのどうでもいいよ。今、テレビ観ているんだから」
「認知症に関係あるのですよ」
QPが一番関心があるのは健康問題だ。 検診は欠かさず受けているし、健康チェックも怠りない。 テレビから引き離すには、健康に関する話題に限る。
「何だって言うの?」
「認知症のことが心配ではないですか。 私が簡単なチェックしてあげましょう。 昨日の朝、何を食べたか、全部、思い出して下さい」
「パンと野菜、ソーセージ……。 それと~」
「それだけですか。何か甘いものを食べなかったですか?」
「あっ! 思い出した。アンパン、はんぶんこした」
QPと私がアンパンを半分ずつ食べたという意味である。
「記憶の回路が繋がってよかったですね。 認知症予防の訓練になるのですよ」
「そうだよね。アタシ、知ってるよ」
「私が帰ったとき『アンパンを食べたか』聞きましたね」
「あつ! そうそう、忘れてた。 昨日、食べたんだよね」
「そうです。すっかり忘れていたようですね。 記憶を繋げる訓練は大切です」
「訓練だったの~。 アンパン食べたと疑われたと思って、腹立てちゃった~」
「疑うはずないでしょう。貴女が正直なことは、私が一番よく知っているのですよ」
「うふふ……」
「なんですか。その含み笑いは」
「言わぬが花だよ。 知らぬが仏……」

公園の 散歩の後は パフェ美味し なにを話して 誰とたべてる

ノボテル札幌1階カフェ・セゾンの「中島パフェ」秋バージョンです。
食べてきました。美味しかったですよ。
秋の中島公園をイメージした中島パフェは10月末までです。
こちらも知力で対抗しているつもりだが、家でしか通用しない奇妙な知恵だ。 どんな知恵かは、言わぬが花。どうせ外では役には立たない。
ある日のお昼、美味しそうな蕎麦屋に入った。 一番安いのが盛りそばだが、
1200円もした。 高いから量もあると思ったが、これが大間違い。
美味しいけれど、腹が満足しない。 もっと食べたいのだが、先立つものがない。 家に帰って、何か食べることにした。
確か、大好きなアンパンが一つ残っているはずだ。 ところが、家に帰って驚いた。 あるはずのアンパンが無い。一体どうしたことだ。
消えて無くなるわけがない。 QPの腹に収まっているはずだ。まったく腹立たしい。 私の気持ちも知らないで、テレビを観ながら笑っている。
「アンパン食べましたか?」
「昼ご飯、ちゃんと食べたんでしょう。 千円も上げたんだよ」
「質問に答えて下さい!」
「なんで、私がそんなこと言わなくちゃならないの」
これは怪しい。絶対に食べたに違いない。 アンパンの代わりに「食べた証拠」を探すことにした。 こうなったら意地でも証拠を見つけてギャフンと言わせたい。
隅から隅まで探してやるぞ。 流し台の引き出しを開けるとパン切り包丁があった。よく見ると少量のアンコがこびり付いている。見つけたぞ! 動かぬ証拠だ。
だが待てよ? 世の中にアンパンを包丁で切りながら食べる人がいるだろうか。 QPだって、そんなことはしないだろうと思っていると、突然記憶が蘇ってきた。

ところで、困った展開になってしまった。 ノックスの「探偵小説十戒」によると、「探偵が犯人であってはならぬ」そうだ。 どうも探偵であるはずの私が、犯人の様な気がする。
お察しの通り、包丁に付着したアンコが、私の記憶をよみがえらせたのだ。
昨日の朝、アンパンを半分ずつ食べた。 そのとき包丁で切ったのが、
なんと、この私ではないか! すっかり忘れていた。
こんなことでQPに「ボケ」とか言われたくない。 このピンチをチャンスに変えなければならない。 QPだって、昨日アンパンを半分ずつ食べたことを忘れていたではないか。 これをネタに揺さぶりをかけてみた。
「近頃、記憶力に心配はないですか」
「そんなことより、キッチンに こもって何してたのよ」
「あなたが認知症になったときは、私がご飯の支度をしなければならないでしょう。 勉強していました」
「そうだね。あんた何にもできないからね。しっかりしてよ」
「ところで、アンパンのことで話があります」
「そんなのどうでもいいよ。今、テレビ観ているんだから」
「認知症に関係あるのですよ」
QPが一番関心があるのは健康問題だ。 検診は欠かさず受けているし、健康チェックも怠りない。 テレビから引き離すには、健康に関する話題に限る。
「何だって言うの?」
「認知症のことが心配ではないですか。 私が簡単なチェックしてあげましょう。 昨日の朝、何を食べたか、全部、思い出して下さい」
「パンと野菜、ソーセージ……。 それと~」
「それだけですか。何か甘いものを食べなかったですか?」
「あっ! 思い出した。アンパン、はんぶんこした」
QPと私がアンパンを半分ずつ食べたという意味である。
「記憶の回路が繋がってよかったですね。 認知症予防の訓練になるのですよ」
「そうだよね。アタシ、知ってるよ」
「私が帰ったとき『アンパンを食べたか』聞きましたね」
「あつ! そうそう、忘れてた。 昨日、食べたんだよね」
「そうです。すっかり忘れていたようですね。 記憶を繋げる訓練は大切です」
「訓練だったの~。 アンパン食べたと疑われたと思って、腹立てちゃった~」
「疑うはずないでしょう。貴女が正直なことは、私が一番よく知っているのですよ」
「うふふ……」
「なんですか。その含み笑いは」
「言わぬが花だよ。 知らぬが仏……」

公園の 散歩の後は パフェ美味し なにを話して 誰とたべてる

ノボテル札幌1階カフェ・セゾンの「中島パフェ」秋バージョンです。
食べてきました。美味しかったですよ。
秋の中島公園をイメージした中島パフェは10月末までです。
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ちゃちゃ なかぱさん、
なかなか札幌に「中島パフェ」を食べに行けない私は、とうとうパフェの写真をコピーして、PCの上の壁に張ってしまいました。悲しいかな、匂いのしないパフェです。冬バージョン、春バージョンと、年間を通しての商品になるといいですね。
ちゃちゃさんへ
nakapa ノボテル札幌の「中島パフェ」を気にかけて下さいまして、有難うございます。
壁に貼った「中島パフェ」の写真からパフェの匂いがしなくて、悲しいそうですが、
本物もあまり匂いがしませんから、本物同様可愛がって下さい。
「中島パフェ」は予想以上に美味しいので冬、春はともかく、夏には再登場と思っています。
のん子 今日も楽しい会話ですね(^-^ )
結果、お二人とも忘れていたんですから5分5分の勝負なんでしょうか?
でも知らぬが仏って仰ってますから健康にこじつけたのは見透かされていたかも?(爆)
イチゴとリンゴの館 あんぱん一個でこんなに面白いエッセーが書けるなんて素晴らしい!!!
朝から楽しませて戴きました(*^。^*)
処で盛りソバ一枚で1200円は吃驚しました。
お味は特別おいかったんでしょうか?
のん子さんへ
nakapa 策を弄しても、成功することは、ほとんでありません。
おっしゃるように、たいていは五分五分ですから、自己満足だけです。
見透かされていたかも知れませんが、家の中ではなるべく結論を
出さないようにしています。 曖昧な方が楽しいですね(笑)。
イチゴとリンゴの館さんへ
nakapa 我家では卵一つ無断で食べても、献立が狂うと大騒ぎになります。
アンパン一つは私の騒ぎすぎです。ご飯の支度してないので、
献立が狂うという、大義名分もありません(笑)。
兄がソバ通のような顔をして、この店がよいと言うので行ったのですが、
私にとっては、普通の美味しいソバです。もう行きません。
暦 主人公とQPさんのやりとり、
高座の名人芸を見ているようです。
読む人に、くすっと笑いを誘う、
これこそ本物の「お笑い」だと
思います。
mitchi-jul 公園の散歩のあとは、パフェを食べるのですか?
「パフェ」と話しながら・・アンパンを半分づつ
食べた話など・・して?。
ところで、秋バージョンのパフェも10月で終り
なのですね。
暦さんへ
nakapa 沢山褒めて頂いて、感謝しています。書く気がもりもりわいてきます。
運動、音楽、美術、囲碁将棋等なにも出来ないので書いて楽しんでいます。
ネットのお陰で、ささやかですが発表の機会があることにも感謝しています。
mitchi-julさんへ
nakapa 今日の道新にノボテル札幌の広告が出ていて、
「中島パフェ」は10月末までと、書いてありました。
公園の散歩の後のパフェはおいしいです。今までに8回食べました。
「大好きなアンパン」は市内では1箇所しか、販売している店がありません。
このアンパンは、遠くまで買いに行かなければなりません。
美味しいですよ。 こしあんです。 2個一袋で売っています。