朝食はテレビを消して話しながらとる。 「朝の食卓」の話題は近所の中島公園、健康、そして札幌シニアネット(SSN)、カラオケ、歩こう会など。
2009年10月1日北海道新聞「朝の食卓」掲載

2年前の今ごろのことだった。札幌市の中島公園近くに住むHさんから、川に泳ぐサクラマスの写真を添えた一通のメールが届いた。「こんな小さな川に産卵に来るなんて、とても神秘的に思えてなりません」。こう結んであった。中島公園を流れる鴨々川にサクラマスが遡上(そじょう)してきたというのだ。まさかと驚いた。

新聞で報道されてからは、鴨々川で写真を撮る人の姿が絶えなかった。そのころ恒例の「クリーン鴨々川清掃運動」があり、主催者も「私たちの河川清掃運動が実を結んだ」と胸を張った。

都心近くの公園で、自然界と同じような営みの中で、新たな命が生まれる。まるで夢を見ているようだ。しかし、事実は違った。原因は、豊平川から鴨々川へ流れる水量を最高5倍まで増やす河川工事のせいだった。水の流れが強くなり、豊平川を遡上するサクラマスが、取水口から吸い込まれ、中島公園を流れる鴨々川に迷い込んだのである。

河川工事をしたのは人。遡上と勘違いして喜んだのも人。保護のため、捕まえて豊平川に戻したのは、豊平川さけ科学館の人。 サクラマスにとって人とは何だろうか。 環境問題を考えさせられた出来事だった。

【2017/05/30 04:45】 | 朝の食卓
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2009年8月9日北海道新聞「朝の食卓」掲載

「中島パフェ」という私が運営するホームページ(HP)と同名の、札幌の中島公園をイメージした本物のパフェが誕生した。バニラやピスタチオのアイスクリームに、クリームチーズのクリーム、イチゴを使ったソース。チョコレートで木や音符も表現している。 早速味わったが、実においしかった。

もともとパフェが大好きだった。「パフェ」は仏語で「完ぺきな」を意味する。約6年前、自宅そばの中島公園の魅力を紹介するHPを開設することになり、タイトルを「中島パフェ」とした。そのうち「どこかで、そんな名のパフェを作ってくれれないかな」と思っていたら、奇跡が起こった。

今年の5月、メールが届いた。「中島パフェ誕生! ぜひ第1号としてご試食を…」。中島公園に隣接するホテル「ノボテル札幌」からだった。ノボテルのスタッフとは、中島公園の良さをアピールするために何をしたらよいかを話し合ってきた。ボランティア清掃でも、ともに汗を流すこともあった。中島公園を愛する共通の思いが誕生につながった。こんなにうれしいことはない。

パフェは8月末までの期間限定で1杯840円。1階のカフェ・セゾンで午前11時~午後6時に提供されている。よろしかったら、ご賞味あれ。

【2017/04/29 08:18】 | 朝の食卓
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2009年7月14日北海道新聞「朝の食卓」掲載

今月中旬から道内でも各地で花火大会が行われる。去年のことだが、札幌市の豊平川で行われる花火大会に出掛けた。すごい迫力だ。花火が上がる度に観客の歓声が響く。夜空にパッと咲く大輪の花を見て、久しぶりに興奮した。

ところが、打ち上げの合間に「怖いよー、帰ろうよー」と幼児の泣き声が聞こえた。なるほど、この迫力も幼い子にとっては恐ろしいものなのだ。

しばらくすると、トイレに行きたくなった。我慢も限界に達した。見物をあきらめ、隣接する中島公園に急いだ。ここには公衆トイレもたくさんある。トイレから出て、あたりを見回すと、あちこちで花火見物をしている人がいた。花火はやや遠目になるが、音も小さく聞こえるので、幼児もここなら大丈夫だろう。

観客でぎっしりと埋まった河川敷と違って、人もまばらで、立ったり、座ったり、寝転んだり、と見方はいろいろ。皆リラックスした感じで花火を楽しんでいる。菖蒲池のボートに乗って見るカップル、豊平館前で開かれていた野外喫茶ではビールを飲みながら。ここを花火見物の穴場を知って、やって来た人も結構いるのだろう。

打ち上げを目の前で見て、光と音の迫力を楽しむのもいいが、自分なりに見物の穴場を見つけて花火を楽しむのも、これまたいい。

【2017/03/28 08:07】 | 朝の食卓
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2009年6月4日北海道新聞「朝の食卓」掲載

もうすぐ北海道神宮の例祭(札幌まつり)だ。去年のまつりのことだが、約40年ぶりに「お化け屋敷」に入った。中島公園の魅力を紹介するインターネットのホームページを運営する立場として、「見ておかねば」と思った。 ところが、友人や家族を誘っても「年だから」と同意を得られず、一人で行くことになった。

お化け屋敷に入って歩くと、外に出たり、中に入ったりする。 これには二つの理由があるようだ。 一つは外にいる見物人に、中のにぎわいと興奮ぶりを見せること。 もう一つは、明るい所に客を出して目をくらませ、内部をより暗く見せることだ。なかなかよく考えられていると感心する。

再び中に入ると、子どもが、お化けに驚かされて逃げ回っている。 私の番になったが、お化けはじっと立ったままだ。「驚かさないの」と聞くと、うつむいてしまった。さらに行くと、また外に出た。目の前には見物人がたくさんいて恥ずかしい。 慌てて中に入って迷ってしまった。どうしても出られないのでお化けに聞いた。 「出口どこ?」。お化けは黙って指を指した。口をきいてはいけないらしい。

怖いもの見たさにお化け屋敷に行ってみたが、想定外の60代の一人客に、お化けは相当に戸惑っているようだった。

【2017/02/25 18:54】 | 朝の食卓
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2009年4月25日北海道新聞「朝の食卓」掲載

「会社を退職したら、肩書を外した付き合いを」と言われるが、肩書がないというのは案外大変だ。 その夜、自宅近くの札幌・中島公園でジャズコンサートが開かれ、会場そばの幻想的な照明の中で、若者が踊っていた。 インターネットで中島公園のホームページ(HP)を開設している私は「これは絵になるな。グッドタイミングだ」と、持っていたデジカメでシャッターを切った。 

「おっさん!おれを撮ったな」。気づいた若者が、こう言いながら近づいてきた。一瞬、緊張が走った。 私は「中島公園のHPを運営しています。撮った写真を載せてもいいですか?」と言いながら、慌てて名刺を渡した。名刺といっても、2カ月に1回出演するコミュニティーFMの番組を少しでもPRをしようと自分で作ったものだ。名前の横にラジオ番組名と「担当」と書いてある。

若者の態度が穏やかになった。「おじさん、すごいんだな」と言われてホッとした。だが、「すごい」とは一体何のことだろう? NHKや大きな民放局の番組と勘違いさせたのかもしれない。とはいえ、苦し紛れで作った名刺に救われた。肩書を外した付き合いは世界も広がって実に楽しいが、一方で、こんなつらさもある。

【2017/01/25 00:00】 | 朝の食卓
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2009年3月15日北海道新聞「朝の食卓」掲載
第2回「ボクシング作戦」
識者と言われる人は、口々に「老後は人の輪に入りなさい」と言う。その言葉を信じたが、それだけでは成果が上がらない。 創意も工夫も必要なことが分かった。そこで、1年をボクシングのように12ラウンドに分け、自分なりの創意と工夫を試してみることにした。 リングには高齢者向けの「やさしい英会話」教室を選んだ。

最初は、あえて人の輪に入らないで人々を観察した。教室の隅にジッと座って9カ月が過ぎた。アウトボクシングのつもりだ。必殺パンチは得意の「パソコン」。慎重にタイミングを計ることにした。年明けにチャンスが到来した。教室の新年会だ。ボクシングだと第9ラウンドあたり。そろそろ仕掛けよう。宴席で何げなく女性のAさんの横に座った。インターネットに興味があることを知っていたからだ。

「趣味は?」と聞かれた。「パソコンを少々」と答え、「教室仲間のホームページを作らない?」と持ちかけると、話はとんとん拍子に進んだ。こうしてホームページ作成を軸に人の輪が広がっていった。「ボクシング作戦」は大成功だ。

しかし、そう思ったのは私だけだったらしい。 ある日、別のメンバーが言った。「Aさんは、あなたが、いつも一人で寂しそうだから声をかけてあげたんだって」

【2016/12/29 08:48】 | 朝の食卓
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